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L.A.ノワール~CERO 30歳以上推奨にしたくなる大人の苦味

L.A.ノワールをクリアして、少々時間が開いてしまったが、一応レビューしておく。
パブリッシャーがロックスターということで、
ロスを舞台にした何でもありの箱庭刑事ゲーかと思いきや、さにあらず。

主人公は一刑事となって、事件の一報を受けてまず現場へ。
立ち入り禁止の柵と、警察官や鑑識の間をぬけて、
現場の遺留品を地道に調べていく。
死体に残った傷、内ポケットの中身、地面に残った足跡…
地に足のついた捜査は、全編とにかく「地味」
GTAっぽい操作性ながら、巨大でレトロな街を、
手がかりと証人求めて地道に地道にうろつきまわる。
お酒を片手に、ハードボイルド気分でじっくり遊ぶのがいい。

ゲームらしい爽快感があんまりないとか、
尋問のシステムはもう少し練りこんでほしかったとか、
せっかく精密再現したロスの街があまり生かされていないとか、
…ゲームとしての不満を挙げればいろいろ出てくる。
しかし、いちいち現場まで運転して、
車を乗り付けて捜査するこの「不便さ」「野暮ったさ」こそが魅力

(スキップ可能だがほとんど使わなかった)
1947年の街を、刑事になって走り回り、
ほろ苦い真実にたどり着く…そして酒をもう一杯wうーむ渋い。

正直万人向けではない。
犯罪や死体の描写は容赦なくリアル系で、
目を背けたくなる現場にも出くわす。
主人公もごく普通の刑事に過ぎず、
それぞれの事件を解決したときに感じるのは
爽快感やヒロイズムより、人の愚かさと、もの哀しさが勝る。

しかし、私のように子供の頃から
洋画劇場でコロンボを欠かさずチェックしていたり、
「道化師殺人事件」、「マンハッタンレクイエム」といった、
コマンド入力・選択時代の推理アドベンチャーで育った
ミステリー好きオジサンには「どストライク」である。
当時のゲームで「話を聞く」「証拠品を見せる」を繰り返しながら、
関係者の繋がり、事件の背景が見えてくるもどかしさと面白さ。
あれを全部リアルタイムでゲームにしてみました、といえばわかりやすい。
…今このゲームを10代でプレイして、ピンとこない、という人は
是非30歳になるまで保管して、あらためて遊んでみていただきたいw

それにしても、だ。
こうしたゲームをリリースできる海外市場の
懐の深さ、作り手層の厚さはうらやましい。

本作で描かれるのは、ジャズ、酒場、ギャングとモルヒネ、
商売女と汚職警官、社会に馴染めない復員兵に、飲んだくれの老刑事…
登場人物を見ても「無垢でピュアな」人間など(現実と同様に)いない
何か傷や秘密をかかえる愚かで哀しい人間ばかり。
そんな人生の苦味を感じさせるキャラの作り、全編の雰囲気が素晴らしいし、
本当の意味で「大人向け」のゲームになっている。

ここまで思い切ったターゲッティングでゲームを作るのは
本当の「大人向け市場」が築けていない国内ではまだ難しいと感じる。
ゲームを「子供の娯楽」に押し込めてしまって、
大人の鑑賞に堪える娯楽…としての立ち位置を、
ろくに作ってこなかったのは、国内ゲーム産業の怠慢ではないかと。
作り手が「オタク」の延長ばかりではこうした世界を作るのは難しいし、
いざ作ってもそれを受け取る顧客・市場がない…残念な話である。

最後に少々センシティブな話題だが、
大人向け、という点では、
1947年(=アジア太平洋戦争が終わって2年)という時代設定が
シナリオの中核部分に密接に関係してくるところも挙げておく。
あの戦争で日本が受けた被害を忘れるわけはないし、
国家としてのアメリカの行為を肯定するつもりもない。
しかし、戦勝国のアメリカであれ、平和に生活したかった多くの人々が、
それぞれに戦争の傷跡を抱えたこともまた事実だっただろう。
描かれるアメリカ人とアメリカ社会が負った戦争の傷跡は、日本人の私にも理解できた。
一人の人間としての視点で見て、プレイヤーの国籍に関係なく共感できる
「節度ある描き方」をしているところは評価できると思う。

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コメント

スーファミ時代に突入する前はエニックスもハードボイルドなADVなどをPC向けによく作ってたんですけどね。
ゲーム機会社がサードを抱え込み、自社のハードのみに限定して売れ線ソフトばかり作るよう強要したのがまずかったかなと・・・・。

投稿: いち | 2011年8月13日 (土) 03時13分

今の日本のゲームソフト会社の社員って、子供や学生時代に漫画やアニメそしてTVゲーム以外の娯楽を知らずに育った人達がそれを真似て、ゲーム作ってるから紹介されているLAノワールみたいなゲームを作る事は出来ないと思う。
大人が楽しめるゲームを作れるかも?って言うクリエイターは学生時代にロックバンドを組んだり、故松田優作氏や、石原プロダクション所属の俳優出演のドラマや映画を見たり、江戸川乱歩の明智小五郎シリーズ、レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロゥシリーズの小説を読み漁って育ったアトラスの金子氏位じゃないでしょうかね?

投稿: とおりすがり | 2011年8月20日 (土) 09時40分

無能非才な消費者としての感想ですが
日本のエンターテイメント産業全体が縮小再生産の袋小路に入り込んでしまっている感じが強くしています。
後は各種圧力団体からの言葉狩り・自主規制の結果じゃないでしょうかね?

投稿: B62 | 2011年8月27日 (土) 16時53分

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