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2011年8月

SCE広報に訊く~個人情報7700万件漏洩について①

7700万件の個人情報漏洩や、
たびたび問題視されるマーケティング手法などについて、
ソニーとして、今、どんな考えなのかをハッキリ聞いてみよう…というわけで
広報に連絡をして、取材をさせてもらえるべく交渉をしたところ、

>弊社といたしましては、ユーザーの皆様に広く情報を発信していただける機会です
>ので、瀬川様のご質問に可能な限りお応えさせていただきたいと思っております。
>そのため、ご希望の内容に対し、各部門の担当者がそれぞれの専門分野のご質問に
>お答えするのが良いかと判断し、このお願いをさせていただきました。

…質問にメールで回答していただけることになった。
なので早速質問を作成し「個人情報漏洩事件に限った第一弾として」送信。
そのまま待つこと2週間。
SCEからの以下のPDFファイルが届いた。
(2011年8月16日受信)

Ccf20110817_00000

Ccf20110817_00001

Ccf20110817_00002

「PDFファイル」をダウンロード


(Q1について)
ソニーでは「7700万件の流出」について、
その全部だったのか、一部だったのかについては絞りきれていない、という姿勢から変化がない。
SOEの漏洩(私の個人情報はこちらからも漏れているorz)
についても同様で、事件から4ヶ月が経過しているにも関わらず、
これだけはっきりした情報が示されないことを考えると、
詳細が解明される望みは薄いのではなかろうか。

この場合、問題となるのはソニーの姿勢である。
ぶっちゃければ、「7700万件が漏洩したこと」は否定していないものの、
「どの項目かは確定できないから、
全項目が漏洩した前提での責任は取りたくない」という姿勢に見える
ということだ。
「全項目が漏洩したことを前提」にして、顧客へフォローを行うのが、
道義的に正しい形であると、私は考えるのだが。

(Q2について)
ソニーが個人情報管理体制について、
法律に定める適切な監督ができていなかったことを認めている。
この部分は経済産業省の指摘通りと言える。

(Q3以降について)
残念である。どうやら、質問の意図がよく理解いただけてないままに、回答されてしまったらしい。
このままでは、実際に漏洩被害に遭った被害者としても、
聞きたかったことに答えてもらえていない。
よって、もう少しシンプルにして、新たに生まれた疑問を含めて質問をしなおすことにした。

>>>>>>>>>>>>>>以下メール引用>>>>>>>>>>>>>>

ソニーコンピュータ・エンタテインメント
広報部 ○○○○様

先日は、丁寧な回答をいただき、誠にありがとうございました。
しかし、残念なことに、一部の質問について私の質問の意図がわかりにくかったのか、
全く質問と回答がかみ合っていないものになっていたと見受けられます。

大変お手数をおかけしますが、下に、先日の質問項目のうち、
回答を読むことで新たに発生した疑問点、
および、十分にご回答いただけなかった事項について、
よりシンプルな形で質問を書き直させていただきました。
あらためてご回答いただけますでしょうか。

追加Q1
私の「7700万件が全件漏洩した」という認識は、米国下院向け報告書の内容に基づいている。回答の中で「一部か全部か確認できていない」という旨の記載が何度か出てくるが、これは矛盾していないか。7700万件全て漏洩しているのなら、流出は「全部のアカウント」に及んでいることになる。それとも、アカウントによって「全項目」が流出していたり、「住所と氏名のみ」が流出している、といった差異があるかもしれない、という話か。

追加Q2
上述したように、漏洩した個々のアカウントについて、項目の精査ができない、ということなら、貴社としては「全件、全項目について漏洩した可能性」をもとに、一律に顧客へフォローを行うべきではないのか。

追加Q3
個人情報は、漏洩した時点で(クレジットカードの不正使用などがなくても)顧客に被害を与える」この考え方は一般的に特殊なものではないと考えるし、これまで何度も他部署のSCE社員の方からは同意を得てきたものだが、貴社広報としても同様の考え方か、それとも異見があるかを伺いたい。

追加Q4
「今回の漏洩では、回答にあったように、ソニーによる不十分な個人情報保護体制が背景に存在した。よって貴社には情報流出で顧客に被害を与えた責任の一端が存在する」…私はこう考えているが、貴社では今回の漏洩の責任についてどういう見解をもっているか。

追加Q5
情報漏洩という顧客への被害を与えた、とすれば、その補償が必要となるのではないか。

追加Q6
前回のQ3およびQ5への回答で、漏洩後に拡充した個人情報保護サービスの提供について触れているが、これは日本国内へ提供されているものか。

以上追加6項目となります。
質問項目が多くなり大変恐縮ですが、
本件は1人1人の顧客にとって重要な案件です。
宜しくご回答のほど、お願い申し上げます。

フリーランスライター 瀬川雅峰
(2011年8月18日発信)

>>>>>>>>>>>>引用終わり>>>>>>>>>>>>>

…というわけで、返信が届き次第、追って報告したいと思う。

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L.A.ノワール~CERO 30歳以上推奨にしたくなる大人の苦味

L.A.ノワールをクリアして、少々時間が開いてしまったが、一応レビューしておく。
パブリッシャーがロックスターということで、
ロスを舞台にした何でもありの箱庭刑事ゲーかと思いきや、さにあらず。

主人公は一刑事となって、事件の一報を受けてまず現場へ。
立ち入り禁止の柵と、警察官や鑑識の間をぬけて、
現場の遺留品を地道に調べていく。
死体に残った傷、内ポケットの中身、地面に残った足跡…
地に足のついた捜査は、全編とにかく「地味」
GTAっぽい操作性ながら、巨大でレトロな街を、
手がかりと証人求めて地道に地道にうろつきまわる。
お酒を片手に、ハードボイルド気分でじっくり遊ぶのがいい。

ゲームらしい爽快感があんまりないとか、
尋問のシステムはもう少し練りこんでほしかったとか、
せっかく精密再現したロスの街があまり生かされていないとか、
…ゲームとしての不満を挙げればいろいろ出てくる。
しかし、いちいち現場まで運転して、
車を乗り付けて捜査するこの「不便さ」「野暮ったさ」こそが魅力

(スキップ可能だがほとんど使わなかった)
1947年の街を、刑事になって走り回り、
ほろ苦い真実にたどり着く…そして酒をもう一杯wうーむ渋い。

正直万人向けではない。
犯罪や死体の描写は容赦なくリアル系で、
目を背けたくなる現場にも出くわす。
主人公もごく普通の刑事に過ぎず、
それぞれの事件を解決したときに感じるのは
爽快感やヒロイズムより、人の愚かさと、もの哀しさが勝る。

しかし、私のように子供の頃から
洋画劇場でコロンボを欠かさずチェックしていたり、
「道化師殺人事件」、「マンハッタンレクイエム」といった、
コマンド入力・選択時代の推理アドベンチャーで育った
ミステリー好きオジサンには「どストライク」である。
当時のゲームで「話を聞く」「証拠品を見せる」を繰り返しながら、
関係者の繋がり、事件の背景が見えてくるもどかしさと面白さ。
あれを全部リアルタイムでゲームにしてみました、といえばわかりやすい。
…今このゲームを10代でプレイして、ピンとこない、という人は
是非30歳になるまで保管して、あらためて遊んでみていただきたいw

それにしても、だ。
こうしたゲームをリリースできる海外市場の
懐の深さ、作り手層の厚さはうらやましい。

本作で描かれるのは、ジャズ、酒場、ギャングとモルヒネ、
商売女と汚職警官、社会に馴染めない復員兵に、飲んだくれの老刑事…
登場人物を見ても「無垢でピュアな」人間など(現実と同様に)いない
何か傷や秘密をかかえる愚かで哀しい人間ばかり。
そんな人生の苦味を感じさせるキャラの作り、全編の雰囲気が素晴らしいし、
本当の意味で「大人向け」のゲームになっている。

ここまで思い切ったターゲッティングでゲームを作るのは
本当の「大人向け市場」が築けていない国内ではまだ難しいと感じる。
ゲームを「子供の娯楽」に押し込めてしまって、
大人の鑑賞に堪える娯楽…としての立ち位置を、
ろくに作ってこなかったのは、国内ゲーム産業の怠慢ではないかと。
作り手が「オタク」の延長ばかりではこうした世界を作るのは難しいし、
いざ作ってもそれを受け取る顧客・市場がない…残念な話である。

最後に少々センシティブな話題だが、
大人向け、という点では、
1947年(=アジア太平洋戦争が終わって2年)という時代設定が
シナリオの中核部分に密接に関係してくるところも挙げておく。
あの戦争で日本が受けた被害を忘れるわけはないし、
国家としてのアメリカの行為を肯定するつもりもない。
しかし、戦勝国のアメリカであれ、平和に生活したかった多くの人々が、
それぞれに戦争の傷跡を抱えたこともまた事実だっただろう。
描かれるアメリカ人とアメリカ社会が負った戦争の傷跡は、日本人の私にも理解できた。
一人の人間としての視点で見て、プレイヤーの国籍に関係なく共感できる
「節度ある描き方」をしているところは評価できると思う。

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