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フォールアウト3の規制騒動に思う

個人的に年末最大の期待作「フォールアウト3」の
規制問題が気になる。

このゲームは、
核戦争後の荒廃した世界を舞台にしたRPGだ。
以前、このブログでも絶賛した
「オブリビオン」製作チームの新作でもある。
期待しないわけがない。

しかも、
字幕翻訳だったオブリビオンで手ごたえを感じたのか、
全吹き替え!という力の入り方。
これは買わない手はない!!


…と、思っていたのだが。


やはり、核というのはデリケートな問題だった
と言うしかあるまい。
人体の欠損表現の自粛に加え、
(個人的には、こちらはあまり興味がない)
サブクエストの一つ
「Power of atom」
の一部が削除されてしまった
というのである。

このクエストでは、
原子爆弾の不発弾が埋まった街で、
街の保安官からは
「暴発しないように処置してほしい」という依頼を
新しい街を建てたい怪しげな男からは
「莫大な報酬と引き換えに、起爆して街を消してほしい」
という依頼を受ける。
フォールアウト3の凄いところは、
双方の依頼のどちらを実行しても、
このクエストは進行する、というところにある。
「選択」と「結果」プレイヤーに委ねられる。

起爆することを選択すると、
プレイヤーは爆弾に起爆装置をセットし、
離れた塔の上で起爆スイッチを押す。
遠くに見えるキノコ雲。
快哉を叫ぶ依頼者…
…戻ってみても、そこにもう街はなく、
わずかに生き残った人々がケロイドに苦しんでいる…

…プレイヤーの意思で、核を起爆し、一つの街を消し去る。
現実に行えば、罪深い、
という表現では足りないほどの罪深い行為。
それを実行できてしまう「ゲーム」の一場面としては
あまりに重いクエスト。

で。
国内版にはこの
「起爆」を依頼するキャラクターが登場しない、
というのが修正の内容になった。
つまり、このクエストは
「暴発しないように処理して街を助ける」
という展開しか体験できなくなってしまった
わけだ。


…正直、やるせない。


製作チームによれば、
このイベントには相当力が入っているらしい。
その展開の「半分」がまるまる削られてしまったことになる。

私のやるせなさは、
「核爆発をさせてみたいのに出来なくされた」
ことに対するものではない。
おそらく、私は実際にプレイしたら、
あまりに酷い依頼に驚き、
結局「街を救う」選択をすると思う。

でもそれは、
「起爆」という選択肢があるからこそ、
選ぶ重みがあるものなのだ。
オブリビオンにもプレイヤーが「選択」を
迫られるシナリオはあった。
その「選択しなければならない状況」こそが
ゲームという双方向メディアにしか
表現できない部分
ではないか。

世界で唯一の戦争による核被爆を経験し、
後遺症や、被爆者差別に苦しんできた人々のいる日本で
このクエストを公開することは、
さまざまな議論を呼ぶだろう。
バッシングを受ける可能性は低くはあるまい。

でも、これはあくまでゲームであり、
映画や小説と同列で語るべき、
メディアの一つ
にすぎない。
「ゲームに影響されて原爆を作った」
なんてケースもまず想定できない。
確かに被爆体験のある方々や、
関係者の方々に、
不快な表現であることは
確かかも知れないが、
地上波テレビで垂れ流すわけでもない。

逆に、
能動的な疑似体験ができるゲームだからこそ、
表現できる核の恐怖もあるのではないか?
ただ見るだけ、読むだけのメディアでは表現できない、
「核に自分から関わる罪深さ」
…ボタン一つでたくさんの人の営みを
根こそぎ破壊する罪深さ
に思い至れたとすれば、
それは価値のある「反核」「平和」体験ではないのか?

そこに深い後悔を感じさせる演出が用意できるなら、
強烈に「核兵器という過ち」を痛感できる
優れた作品にもなり得るはず。



…私は残念ながら、
英語版を全部プレイしたわけではないので、
起爆してしまったあと、
どれだけ罪を感じる展開になるか知らない。

だが、海外版を遊んだプレイヤーからは
「起爆してしまったら、その後何をやったか思い知らされて、
まともな神経なら間違いなくショックを受けると思う」
という声も聞こえてきている。

もちろん正反対の
「所詮、加害側のアメリカ人にとって、
核の悲惨さは理解されてないと感じた」
という厳しい声もある。そういう声もあっていい。

実際に触れる前から、
いきなりタブーだから規制、
ではやはり残念だ。

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コメント

確かにこの規制はバッシングを受ける可能性がありますが、それならそれで完全削除するよりも「少し改良してクエストを残す」といった感じにして欲しかったです。

投稿: タクヤ | 2008年12月17日 (水) 23時53分

訂正で
×「確かにこの規制」
〇「確かにこのクエスト」です。

ミスってすいませんでした。

投稿: タクヤ | 2008年12月17日 (水) 23時56分

「起爆」という選択肢があるからこそ、
選ぶ重みがあるものなのだ。
 
↑選択肢がなくとも起爆させない事に意味がある。
そのような不謹慎なゲーム内容を唯一の被爆国として「起爆」の選択肢もストーリーには重要だと許すほど、我々は無関心でいるべきではない。

現実に苦しんでいるひとが日本にいるんだぞ?
それでも「起爆」という選択肢も必要と言えますか?

投稿: | 2009年1月23日 (金) 23時06分

裏技で依頼復活するそうです。

投稿: みろく | 2009年1月27日 (火) 02時40分

核が大切な問題だということはわかります。
でも、
だから「許すほど無関心でいるべきではない」
というのは極論ではないでしょうか?

苦しんでる人がいたら表現できない、
ということを突き詰めれば、
ほとんどの小説や映画も否定されます。
人が殺されるミステリーなんて作れません。

フォールアウト3は
核を「知るためのきっかけ」にも
なれる力作だと私は思いました。
「選択肢は必要だ」と
手放しで主張するつもりはありませんが、
「当然なくすべきだ」という考えもまた、
受け入れがたいものがあります。

投稿: マサミネ | 2009年1月28日 (水) 00時53分

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